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人気・シェアハウスは平成の下宿…気遣い隠し味(読売新聞)

 部屋は6畳一間で、台所とお風呂、トイレは共有。

 昔なら下宿か安アパートかと思うが、今は共有スペースを分け合う「シェアハウス」のこと。個室でプライバシーが守られる一方、リビングやキッチンでは住人同士で「ご近所づき合い」を楽しめる。20~30歳代に人気で、空いた社宅を転用する企業も出始めた。

 東京・北青山にある「シェアハウス銀杏(いちょう)」。5階建てビルの3~5階に様々な広さの個室と共有リビング、キッチンがあり、23~35歳の女性5人が暮らす。

 「しゃべられへんかったら死ぬわー」。住人の神堀由依さん(33)は、隣人とのおしゃべりが楽しみだ。生粋の関西人だが、一昨年の4月、転勤で生まれて初めて東京へ。昨年9月にオープン直後の銀杏に移った。何が魅力か尋ねると、「一人暮らしでは得られない刺激」と即答だった。

 大みそかの晩は、入居者の一人、志賀有希子さん(35)が経営する四谷のバーで、常連客らとグラスを傾けた。バレンタイン前には、みんなでキッチンに立ちチョコ作り。週1回様子を見に来る運営会社社長兼管理人の竜田胤徳(つぐのり)さん(41)にプレゼントした。

 もちろん、一人になりたい時もある。そんな時は部屋に閉じこもればいい。

 月々の負担は共益費込みで10万円前後。大型テレビ、足を伸ばせる湯船、有名ブランドの鍋、ケーキを焼けるガスオーブンも備える。

 隣人にも恵まれる居心地の良さは偶然ではない。

 銀杏には、入浴後は各自が浴槽を洗い流す、男性の知人は午後8時には帰ってもらう――など、他人同士が円滑に暮らすためのルールがある。

 入居希望者の内覧には竜田さんが付き添い、他の人とうまくやっていけるかどうか、細かいしぐさや話しぶりをさりげなく見る。おめがねにかなわないと、丁重にお断りするという。

 「おとなしすぎてはダメ。マナーを守れないのはもっとダメ。コミュニケーションが取れないと、シェアハウスに暮らすのは無理です」と竜田さん。気遣いは必須なのだ。

 男女が「一つ屋根の下」で暮らす物件もある。さいたま市のJR浦和駅に近い「シェアプレイス浦和」には、二十数人の男女が入居する。夜や週末は自然と集まり、一緒に料理。缶ビールをあけて楽しむ。

 結婚観が話題に上ることも。第一条件はイケメンで高収入……。そんな女性陣の願望を聞かされると、三浦宗晃(ひろあき)さん(28)は内心、「そんな男いるわけないよ」とは思うが、話を合わせる。

 海外勤務から帰国後、友達が欲しくて入居、願いはかなって男友達はできた。入居者に女性の友人を紹介されることもあるが、「あくまで住む場所だから、恋愛は別です」という。

 このハウスは、東京電力の関連不動産会社「リビタ」(東京・渋谷区)が運営する。同社は2006年3月から、企業の社宅や独身寮などをシェアハウスに改装し、管理・運営する事業に乗り出した。現在は6棟259室がほぼ満室状態という。

 シェアハウスの紹介サイトを運営する「ひつじ不動産」(渋谷区)によると、4月末現在、こうした物件は首都圏で約600棟。入居者は20歳代後半が多く、7割が女性という。

 若者文化に詳しい法政大の稲増龍夫教授(社会心理学)は、「会社の寮や社宅ではオンとオフの切り替えが難しいし、アパートでは近所づきあいに踏み出しにくい。シェアハウスは若者の人間関係づくりの新たなきっかけになっている」と話している。(渡辺光彦)

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